採用
給与・報酬の「オープン化」を進める理由と考察
2025/11/07
こんにちは!
QuestBoard代表の濱田です!
11月になり、新しく入社した社員や業務委託メンバーも増えました。
当社ではSlackを中心にコミュニケーションを行い、できるだけDMではなくパブリックチャンネルで会話するなど、
“オープンな仕事環境”を目指しています。
今回のテーマは、「給与や報酬を全員にオープンにすべきか?」です。
これまで当社では、特に隠してきたわけではありませんが、聞かれなければクローズでした。
しかし、2026年度からは全社員・全業務委託メンバーの給与・報酬額をオープンにすることに決めました。
その背景には、代表である私自身の原体験があります。
1. 「あの人のほうが給料が高いのか」という違和感
私がまだ会社員だった頃、正直に言えば「自分より明らかに成果を出していないのに、
なぜこの人の方が給料が高いのか」と感じた経験がありました。
当時は評価の基準が見えず、納得感が持てなかった。
それがきっかけで、「給与の不透明さは、本人の努力やモチベーションを削ぐ」ということを強く感じました。
さらに、経営側の立場に立ってみると、もう一つの構造的な問題が見えてきます。
企業は往々にして、「優秀な人をできるだけ低い報酬で採用したい」という心理が働きます。
たとえば採用面接で、「この人は市場価値が高い」とわかっていても、
できるだけ安い条件で入ってもらおうとする。
それは企業のコスト最適化としては合理的ですが、
個人のキャリアや信頼関係の観点から見ると、長期的には健全ではありません。
報酬がオープンでないからこそ、そうした“見えない不均衡”が生まれてしまう。
この構造を壊すには、まず情報を非対称にしないことから始めるべきだと考えました。
2. オープン化の狙い:信頼と自律を両立させる
給与・報酬をオープンにすることで、
「誰がどのような基準で評価されているのか」を明確にできます。
それによって、評価の納得感と個人の成長意欲を同時に高めることを狙っています。
報酬の数字は、単なる金額ではなく「組織にどんな価値を提供したか」の結果です。
だからこそ、数字を通じて“自分の立ち位置”を客観的に見つめ、
どうすれば次のステップに進めるかを全員で考えられるようにしたい。
当社ではこれを「報酬の見える化」ではなく、
“報酬を通じた対話の文化”として根づかせたいと考えています。
3. 懸念と向き合う
もちろん、懸念もあります。
人は数字を見るとどうしても比較してしまいます。
「なぜ自分はこの金額なのか」と感じる人も出てくるでしょう。
しかし、それこそが“対話のスタートライン”だと思っています。
金額の裏にある評価基準・ロジック・成果の内容をきちんと共有し、
オープンなフィードバックを通じて、相互理解を深めていきます。
数字を見せるだけで終わるのではなく、
“数字の意味”を共有する文化を作ることが、この取り組みの本質です。
4. 公平ではなく「納得感のある不均衡」を
報酬を完全に“公平”にすることは不可能です。
人には役割も責任も異なり、成果の形も多様です。
私たちが目指すのは、「全員が納得できる不均衡」です。
自分の報酬に納得し、その上で他者を尊重できる関係性。
それが本当の意味で“心理的安全性”を持つ組織だと思います。
まとめ
給与・報酬のオープン化は、リスクもある挑戦です。
しかし、報酬を“隠す”ことによって生まれる不信や不公平感の方が、
長期的にはずっと大きなリスクになると感じています。
「透明性」から「信頼」を、
「納得感」から「自律性」を、
そして「数字」から「対話」を生み出す組織へ。
2026年度からのこの試みが、私たちのカルチャーをどのように変えていくのか。
また折を見て、結果をここで共有していきたいと思います。
